遠州三山のひとつ「萬松山可睡斎(ばんしょうざんかすいさい)」は初詣だけでなく、トイレの神様、ひな祭り、風鈴まつりなどで有名だということを知っていますか?
「可睡斎」は徳川家康ゆかりの禅寺で、遠州三山の「法多山」「油山寺」と共に参拝者が多いんです。
本記事では、可睡斎の名前の由来、東司(とうす)のトイレの神様、ひな祭り、風鈴まつり、駐車場やアクセスなどについてまとめてみました。
遠州三山のひとつ「萬松山可睡斎(ばんしょうざんかすいさい)」
「萬松山可睡斎(ばんしょうざんかすいさい)」は、「お可睡(おかすい)」と呼ばれ、多くの人々に親しまれている東海屈指の曹洞宗の巨刹で、御本尊は聖観音です。
応永年間(西暦1394年)頃、大路一遵が久野城主、久野宗隆の援助を受けて開いたと伝えています。
天狗の元祖とも言われる「火防の神」秋葉沢坊大権現が祀られており、全国秋葉信仰の総本山です。
徳川家康公ゆかりの禅寺で、向拝の瓦飾りには三ツ葉葵の門が入っています。
オススメは、家康縁の「六の字穴(六文字穴)」です。
若き家康が武田勢に追われ、命がけで逃げ延びて来てこの穴に隠れ身を潜め、追手が来た時に野鳩を放ち難を逃れた、という言い伝えがあります。
昔は中に入れたそうですが、今は安全上の問題で中には入れません。
また、西側の山に登ると「護國塔」というインドガンダーラ様式の塔がそびえています。
日露戦争の戦死者を祀った慰霊塔ですが、東京帝大の有名な教授の設計でまだ珍しかった鉄筋コンクリートの建造物です。
建造発起人には伊藤博文や大隅重信、東平八郎、板垣退助の名前があります。

萬松山可睡斎(ばんしょうざんかすいさい)
住 所 静岡県袋井市久能2915-1
TEL 0538-42-2121
営業時間 諸道拝観・祈祷の受付 8:00~16:00
休 業 無休
アクセス JR袋井駅からバスで10分
東名袋井ICから車で5分
地図
可睡斎の公式サイトはこちら
「可睡斎」の名前の由来
寺名には家康伝説が伝わっています。
可睡斎は元々、東陽軒という名のお寺でしたが、浜松城主になった家康が幼少期に世話になった和尚を招き話している席で和尚が居眠りをしてしまいました。
でも家康は和尚とは幼少の頃からの縁故である事から、「和尚にとって私は子どもと同じ、ゆえに安心して居眠りも出来る。和尚、眠るべし」と好意的にこれを歓迎しました。
そのご和尚は「可睡和尚」と呼ばれ、寺の名前も「可睡斎」に改められたそうです。
【可睡斎の名前の由緒】
11代目の住職仙麟等膳(せんりんとうぜん)和尚は、幼い徳川家康とその父を戦乱の中から救い出しかくまいました。
その後、浜松城主になられた徳川家康は、親しく和尚を招いて旧恩を謝し、その席上でコクリコクリと無心にいねむりをする和尚を見て徳川家康はにっこりせられ
「和尚我を見ること愛児の如し。故に安心して眠る。われその親密の情を喜ぶ、和尚、眠るべし」
と申されました。
それ以来仙麟等膳(せんりんとうぜん)和尚は「可睡和尚」と称せられ、後に寺号も東陽軒から「可睡齋」と改められました。また、仙麟等膳和尚の時代、徳川家康公の帰依を受けて、天正11年(1583年)に東海4ケ国(駿河、遠江、三河、伊豆[1部])の僧録司となりました。【僧録司とは】
僧録司とは、現代風にいえば、寺院を管轄する役所のことであります。室町時代に禅宗寺院を管轄し、その人事をつかさどる機関として、1379年3代将軍足利義満が中国にならって春屋妙葩(しゅんおくみょうは)を任じたのが始まりです。戦国時代に入ると戦国大名は領国内の寺院統制のために、領域内に僧録を置いています。江戸幕府は、寛永6年(1629年)大僧録と全国に僧録所を設置し、管下の寺院を管理させました。可睡斎は東海4ケ国約2500の曹洞宗寺院を管理したのであります。寺院本来の本末関係に代わる独自の管理体制で、幕府の寺社奉行に直結していました。管下各寺院は、僧の任免、寺格の昇進、その他もめ事や裁判等まで、すべてを僧録司に上申し、その決裁を仰いだのです。
以来、可睡斎歴代の住職は高僧が相次ぎ、名実ともに東海道における、禅の大道場として面目をほしいままにしております。
可睡斎の東司(とうす)にトイレの神様
国の登録有形文化財の日本一の東司(とうす)があり、トイレの神様がいます。
東司の室内中央には、高村晴雲作、日本一大きな「烏枢沙摩明王像(うすさまみょうおうぞう)」があります。
「烏枢沙摩明王」は古代インド神話において炎の神であり「この世の一切の汚れを焼き尽くす」功徳を持ち、不浄を浄める功徳があると言われています。
木造づくりで、昭和12年に完成した当時から水洗トイレとして造られていたそうで、観光客が大勢訪れたそうです。
花のお寺としても名高く、春はボタン(60種、2,000株)、夏は鷺草、秋には紅葉が堪能できます。
禅寺ならではの本格的な精進料理も楽しむことができ、美しくて美味しいと評判です。
遠州三山の「油山寺」「法多山」「可睡斎」の御朱印を集めると「ご利益茶」がいただけます。

可睡斎の「ひな祭り」
ゆりの園や牡丹園で知られる、10万坪の禅寺「可睡斎」ですが、1月から3月は日本最大級の「可睡斎ひな祭り」が開催されます。
本堂右側には、国登録有形文化財の瑞龍閣の大広間に、32段1200体の雛壇が飾られていて圧巻です。1階にもピラミッド型の雛壇も見られます。他にも大書院など、広い窓に沿って沢山の雛人形が飾られていて、窓から見える庭園と一緒に楽しめます。
通路という通路に雛人形が飾られています。外の階段にずらりと並んだ雛人形は見応えがあります。お寺の廊下やメイン会場の他、至るところに雛人形が飾ってあり、見ごたえ十分です。
記念撮影は自由で、土日は雅楽の演奏を聴くことができます。
春に咲くぼたん、色鮮やかな鯉のぼりも綺麗です。
可睡斎の「風鈴まつり」
7月から「遠州三山風鈴まつり」が開催されます。
境内に入ると色とりどりの風鈴が風に靡き、幻想的な雰囲気でとても綺麗です。
すごい数の風鈴で圧倒されます。風鈴の音が響く心地よい散策が楽しめます。
「風鈴まつり」は8月末まで開催されます。
毎年、8月の終わりに花火大会があります。
餅まき、灯籠流しなどもあります。奉納花火ということで手筒花火や仕掛け花火、スターマインなどがあります。打ち上げ数は多くありませんが、この地では「可睡の花火」として親しまれています。
「可睡斎」の無料駐車場
【一般駐車場】
可睡斎の御真殿(こまどの)の裏側にあります。
駐車台数は約50~60台程度、入口までは500~600mなので徒歩約10分弱くらいです。
【第2駐車場】
可睡斎西にあるイタリア料理店・フィオレンティーナの前にあります。
駐車台数は40~50台程度、入口まで400mなので徒歩約6分くらいです。
まとめ
可睡斎の名前の由来、東司(とうす)のトイレの神様、ひな祭り、風鈴まつり、駐車場やアクセスなどについてまとめてみました。
可睡斎は曹洞宗の修行をするお寺でもあり、禅体験もできます。
近くにはゆり園もあり、初詣だけでなく、季節ごとに違った雰囲気を味わえるので、見どころ満載です。
是非一度お出掛けくださいね。